ヘビーメタルにおけるギターサウンド

改めてPANTERAを聴いてみると、非常に多くのアーティストに影響を与えている事がわかる。例えば現在活躍中のKORNLIMP BIZKITといったハードなサウンドを志向するバンドには明らかにPANTERAの影響が見られる。特に顕著なのはそのギターサウンドだ。



一体何故ダイムバッグのギターが現在形のロックに多くの影響を与えているのだろうか?
(このジャンルに詳しい方からは文句を頂くかもしれないが)自分なりに考察してみた。



ヘビーメタルの代名詞とも言える強烈なディストーションサウンドの歴史は古い。
原型となったのはファズサウンドであろう。BeatlesのHelter SkelterやJimi Hendrixのパープルヘイズ等で聴けるサウンドが元祖ファズサウンドだろうか。

この頃のファズギターは擬音で表すと「ジジジ」「ビビビビ」「ブブブブ」という感じ。高音域の周波数を極端に持ち上げた歪みがその特徴であった。



やがてファズサウンドディストーションと呼ばれる、より過激かつ滑らかなサウンドへと進化して行った。Judas PriestやMotor Head、若しくはNWOBHMと言われる一連のブリティッシュバンドで聴けるギターがそのサウンドの代表であろう。

忘れては行けないのがエディ・ヴァン・ヘイレンの存在。バンドサウンドアメリカンロック寄りだが、彼のチューブアンプをブリブリに歪ませたサウンドは多くのヘビーメタルギタリストに影響を与えた。



「もっとハードに」「もっとヘビーに」

歴史と共に多くのギタリストがこの課題に向けて貪欲に取り組んできた。



そして更なる過熱化のきっかけとなったアーティストがシーンに出現する。

Metallicaの登場である。Master Of PuppetsでJames Hetfieldが創り出したギターサウンドは非常に多くのギタリストに影響を与え、特にスラッシュメタルと呼ばれるバンドの多くのギタリストがそのサウンドを模倣し、そして超えようと、過剰とも言える競争が始まったのである。

彼らのサウンドの特徴は高音域と低音域を極端にブーストした所謂ドンシャリと呼ばれるサウンド。数多くのギタリストがV字のグラフィックイコライザーやパラメトリイクイコライザーとの格闘を重ね、そしてそのサウンドのキモは実は中音域にあるという事を見抜けなかった愚かなギタリストはバンドサウンドの中に埋没し、はかなく消えていった。