北海道に住んでいた3

滝川駅には不動産屋の女の子が迎えに来ていた。まずは車で不動産屋に向かうことに。
滝川のメインストリートを抜ける。町は・・・ゴーストタウンのようだ。車は通っているが人が歩いていない。地方の車社会を知らない僕にはこれだけで衝撃的だった。「とんでもない所に来た」と思い始めていた。
雪が止む気配は全く無い。


↑この写真は夏のメインストリートのちょい外れ。いい天気だよね。


今思えばいちばん酷い時期に、最も嫌なシチュエーションで、あの風景を見たのだからゴーストタウンと思ってしまうのも仕方が無い。
許して北海道の人。


話を元に戻す。
とにかく僕は街の風景にばかり気を取られていたので、他の事はあまり、いや殆ど気にならなかった。
恐らく気温は-10度を下回っていて、僕が今までに体験したことの無い寒さであっただろうし、隣の運転席では不動産屋のおねえちゃんが、タイヤが雪で流れるのに合わせて絶妙なカウンターを当てていただろう。でもそんな事は何も覚えてはいない。

程なく不動産屋に到着。ろくな物件が無い。一人暮らしの経験が無い僕がろくな物件が無いと思うのだから、相当酷かったのであろう。
いや部屋は至る所にあったのだが、職場から数キロ離れた所ばかりであった。車はこの時まだ持っていなかった。不動産やのおじさんは僕に職場から12km離れた物件を薦める。俺に凍死しろというのか?
おまえが死ね。

そこに1つの物件が目に飛び込んできた。3DK。場所は駅と職場の中間。どちらに行くにも1キロちょっと。家賃39,000。水道代、駐車場代込!
しかし・・・ユニットバス(3DKなのに・・・)、築年数(・・カイテナイヨ!)

その名は「空知ハイツ」不安だがこのロケーションは捨て難い。「一人暮らしの人にはねぇ・・・古いし・・」と親父は心配顔。でも行こう!とりあえず行ってみようよ!


不動産屋を出る。なんと歩いて1分で到着。でも外観を見て驚愕。これは人が住んでいるんですか?昔小学校の廊下に掲示されていた朝日小学生ニュースで見た「地震で崩壊した建物」と変わらんやんけ!
まあこの建物は崩壊はしていないが・・・。

とりあえず空き部屋がある3Fまで上がって、部屋のドアを開ける。
「あれ?いいんじゃない?つーかメチャメチャ広いよ」
確かに古い。築年数は30年近いだろうけど、耐えられない程じゃない。
それに3部屋もある(3DKだからあたりまえ)

いちばん大きな10畳位の部屋には大きな窓とベランダが付いている。
そこから外を眺めてみる。



この写真のスキー場が少し先に見えた。
他にもこの家にはたくさん窓があって、どこからも美しい雪山がすぐ近くに見えた。

ここに住もう。1分も経たない内に決めていた。

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